JRS会員の皆様へ 
       英国チェルシー・フラワーショウ及びツツジ・シャクナゲ庭園視察報告
視 察 団 団 長 藤 原 勝 壽

今回の英国のツツジ・シャクナゲ視察は、当協会にとって第4回目の海外視察であり、視察概要は次のとおりである。

 1.目的:英国のチェルシー・フラワーショウの見学とツツジ・シャクナゲ庭園の視察 【写真集掲載してあります。】

 2.期間:2005年5月21日(月)〜5月28日(月)の8日間

 3.主催:日本ツツジ・シャクナゲ協会(JRS)

 4.視察日程:別表日程表のとおり 【詳細日程表別紙へ】

 5.参加者:19名

 北から、土居保幸、土居美恵子、土居万里子(北海道)、守健一郎(宮城)、羽鳥勝(群馬)、外川誠、外川和子(東京)、平野俊春、平野紀子(神奈川)、中曽根克己(長野)、志田美恵子(三重)、藤江賢治、藤江イチ子(福井)、松村哲夫(滋賀)、江指万壽男(京都)、矢代守、矢代千恵子(兵庫)、神原武士(広島)、藤原勝壽(香川)の各氏である。

 6.旅行社:近畿日本ツーリスト樺テ支店、ツアー・ディレクター 有馬純子



【写真をクリックすると拡大写真を見ることができます。】
 【チェルシー・フラワーショウ】
 ロンドンで開催されるチェルシー・フラワーショウは、毎年5月下旬に5日間の会期で開催され、世界各国から20万人の入場者がある世界でも最大規模のフラワーショウである。初日・2日目は英国王立園芸協会メンバーズ・オンリーで、我々視察団一行は一般開放初日で開催3日目の5月24日の見学であった。昨年は26万人の入場があり混雑がひどく、今年は入場券を20万枚に制限したそうである。ちなみに、我々視察団の入場券は前年の12月上旬に予約購入した。詳細は、視察団員の別稿に譲る。



【五つのシャクナゲ庭園視察】
ツツジ・シャクナゲ庭園の視察は、@グレンドイック・ガーデン、A(英国)王立エジンバラ植物園、Bエクスバリー・ガーデン、C(英国)王立キュー・ガーデン、D(英国)王立ウィズリー・ガーデンの五つの庭園を視察した。その詳細は各視察団員の視察報告をご覧いただくこととして、ここでは骨子のみレポートする。
写真1 チェルシー・フラワーショウのツツジ・シャクナ
     ゲコーナーにて


@グレンドイック・ガーデンは、世界的に有名なシャクナゲ育種家のPeter Cox, Kenneth Cox父子の農園で、父のPeter氏が中国訪問中とのことで、ご子息のKenneth氏の案内で庭園と圃場を見学した。広大な敷地に、主として中国・ヒマラヤのツツジ・シャクナゲ類が谷川添いに植栽され巨木になっているシャクナゲもあった。全体的に樹勢も良くスコットランドの気候に馴染んでいるように思えた。Kenneth氏の奥様経営のレストランで昼食の後、午後は圃場内を自由に見学できた。育苗管理の方法にも参考になるところが多々あった。当協会会員もグレンドイックから苗を購入している方もおられ、長距離輸入のことも考慮して、1月発注、2月頃の輸入がベストとのことで
あった
      写真2 グレンドイック・ガーデンのKenneth Cox氏
          と共にCox邸を背景にして
       写真3 グレンドイック・ガーデンのシャクナゲ育苗圃場


 A(英国)王立エジンバラ植物園は、シャクナゲ分類では世界的に有名な植物園であり、Dr. David Chemberlain, Dr. George Argent, H.H. Davidian等が活躍した植物園である。特に、羽鳥さんと親交が深くビレアご専門のDr. Argent氏にお会いでき、ビレアに関する多くの情報が得られたことは大きな収穫であった。Argent 氏は現在リタイアされているが、我々の訪問にあわせて登園されLouise Galloway 学芸員と共に、ビレアのガラスハウス及びバックヤードをご案内いただき詳細なご説明をいただいた。
      写真4 (英国)王立エジンバラ植物園にてDr. George
           Argentとともに
      写真5 (英国)王立エジンバラ植物園のバックヤード
           見学Louise Galloway 学芸員の説明


 Bエクスバリー・ガーデンは、富豪ロスチャイルド氏の邸宅庭園であり、Exbury Azalea等が多い典型的な英国シャクナゲ庭園である。正面入口で庭園管理責任者のJohn Anderson氏らにより出迎えていただき、広大な庭園を案内された。ツツジ・シャクナゲ類の植栽が相当古く、大葉シャクナゲ等の巨木が多い。レストランで昼食後ロックガーデンを見学していると、すぐ横をミニチュアの蒸気機関車による汽車が通り過ぎていった。よく見ると機関士は先ほど庭園案内補佐していただいた方で、乗客は我々の団員であった。

 
    (写真6 エクスバリー・ガーデン John Anderson
                           コーディネーターの説明)



 C(英国)王立キュー・ガーデンは、大英帝国時代に多くのプラントハンターを世界に派遣して植物の収集を行い、この植物園はその要として発展してきた。現在3万3000種の植物が植えられている。ツツジ・シャクナゲ類は、「シャクナゲの小渓谷」にまとめて植栽されている。案内のIrina Noack 学芸員によると、庭園の地下水位が下がり水遣りに苦労しているとの説明であった。バックヤードとNoack女史のオフィスも見学したが、ツツジ・シャクナゲ類はほとんど育苗していなかったのは残念であった。



      (写真7 (英国)王立キュー・ガーデン、
                        Irina Noack学芸員の説明)


 D(英国)王立ウィズリー・ガーデンは、王立園芸協会の実験場として始まった庭園である。広大な敷地にシャクナゲ類の植栽が豊富で圧巻であった。以前はJRSの名称登録申請の送付先はこの庭園であったが、現在はDr. A.C. Leslie氏の所属門がロンドン北東のケンブリッジに移転している。


上記五つの庭園見学については、視察計画作成段階から欧米の事情に詳しい鈴木英雄名誉会長とロンドン滞在期間の長かった大阪支部の井上修爾氏のアドバイスを受け作成したもので、全てツツジ・シャクナゲ類の豊富な庭園である。

庭園見学に先立ち、各庭園への視察団訪問受入依頼は、当協会のツツジ・シャクナゲ名称登録申請先の英国王立園芸協会のDr. A.C. Leslie氏から連絡していただいた。各庭園の受入はゲスト待遇で、学芸員等の専門家の案内で見学できた。特に、一般の方々には立ち入ることができないバックヤード(育苗施設)まで見学することができたのは大きな収穫であった。

 団員の健康管理にご配慮いただいた土居医師には、要所要所で適切な処置をしていただき、各団員大事に至らず全員無事に帰国できましたこと厚く御礼申し上げます。

さらに、外川副団長、各班長と団員の機敏な協力のおかげで、また、近畿日本ツーリストの有馬女史が全行程同行していただき、細かい配慮のおかげでスムーズに遂行できました。合わせて御礼申し上げます。